今更だけどヴィータは自分の嫁……なのはさんは漆風が唯一尊敬できる人物であり、魔王。       ……多分そんな感じ。
わんもあぶれいく:図書室とことみと俺と
2008-02-17 Sun 23:59
「図書室…?」
出たくない体育の授業を免除してもらって適当にぶらぶら歩いていると、いつの間にかそんなところに来ていたようだ。
「ん?」
“閉鎖中”の札が掛かっているのが見受けられるが、図書室の扉は数センチ程開いていた。
「…誰かいるなぁ。」
微かに呼吸音とページをめくる音が聞こえるのを感じ、中に入る。
「ちぃーす。」
中にはいるが、誰もいない。
とりあえず中に入り、詮索をしてみる。
「っかしーな…気のせいだっt…。」誰もいないと思ってから約数秒で、その気配の人物はいた。
ぺらり………………………ぺらり。
一ノ瀬ことみがいた。
「おい、一ノ瀬?」
「……………。」
反応なし
「ことみ〜?」
「………………。」
また反応なし。
結構なペースで呼んでいる分、結構集中して呼んでいるみたいだが…
「一ノ瀬ことみさん?」
「……………。」
反応なし。
と、思ったら本を読むのを一旦やめて、ポケットに手を入れて取り出したものは…
ちょき、ちょきちょき...
「っておいおい!」
さすがにまずいと思った俺はことみのはさみを持っている方の手首を掴み、はさみを取り上げる。
「あっ……?」
いや、そこではてなマークを浮かべられても…。
「………はっ、神代くん。」
………………
「反応が随分鈍いんだな…おまえ。」
「?」
状況を未だに飲み込めていないようなので、はさみで本のページを切らないように釘を刺しておかないとな。
「お前…図書室の本を切り取ったらだめだろう。」
「どうして?」
「お前の物じゃないからだ。」
「借りてても?」
「借りててもダメだ。」
「買っても?」
「…その発想が出来るなら本屋にでも行って買って来いよ。」
至極もっともな返答をすると、
「神代くん…いじめっ子?」
目を潤わせて、上目遣いでそう言う。
「い〜や、“普通の子”だ。」
いや、普通じゃないのは自覚あるんだけどさ、自分で自分をフォローさせてくれるくらいいいだろ、なぁ?
「……………。」
「…とりあえず何でお前ここにいるんだ、授業はどうした?」
そう聞くと少し戸惑ったような表情をした後、
「授業、免除なの。」
「ほう、奇遇だな、俺と一緒だ。」
成る程ね、伊達にあの一ノ瀬さんところの娘ってわけじゃないわけか。
「神代くんも、授業免除なの?」
「ああ、俺もお前と同じで自主勉強だからな。」
そもそも学校のにちまちま合わせていると、もう少し授業を進めるのを早くしてくれと校長でも担任でも誰にでもいいから言ってしまいそうなのでそうしているだけってのもあるが。
さて、そろそろこの天然っ子をどう扱うかだが…
「呼ぶときは何て言えばいい?」
そう、とりあえずこれを聞いておかないとこいつが本を呼んでいる時にまともに会話も出来なさそうだからな、聞き出しておかないといけないことの一つだ。
「ことみ、ひらがなみっつでことみ。呼ぶときはことみちゃん。」
「こ、ことみちゃん…。」
何故ちゃん付けをしなければいけないのか…と愚痴を心の中でぼやきながら、
「ああ、わかったよ。でも、せめて呼び捨てにさせてくれないか?」
そう聞くと微笑を含めながら、こくりと頷いた。
すりすりすり...
「ん?」
正座のまま座っているクッションから半分降りるようにして、
「一緒にご本読む?」
………どうやって読むんだ?
一応ざっと見渡したところ、ことみの呼んでいる本の意味は全部理解できそうだが、小難しい言葉が嫌いなため、
「悪いな、俺本はあまり読まないほうなんだ。」
と、ことみの誘いを断ってしまった。
「?」
いや、だからそこではてなマークを浮かべられても…。
そして数秒後、今度はなにかガサゴソいじっている。
「お弁当、食べる?」
今は10時30分。丁度授業が始まった頃合いだが、昼飯には些か早すぎる時間だ。
「いや、まだ昼飯の時間じゃないからな。」
「?」
どうでもいい…もう。
「あ〜…じゃあ食うか。」
そういうと目元の部分を微かに紅潮させながら目を細めて、
「うん。」
と、頷いた。
その仕草に、少しだけ胸の鼓動が高鳴ったような気がした。
「これ、自信作。」
そういって指差しだのは、
「卵焼き?」
お弁当の定番とも言えるおかずだった。
「じゃ、遠慮なく…」
「あっ」
卵焼きを手で取ろうとした途端、ことみが、
「お箸一膳しかないの…。」
ま、予想はしてたけどな。
「だから…」
そう言うと箸で卵焼きを取り、俺の口へ…って…
「あ、あ〜ん…。」
ことみの顔は真っ赤っかだ。
……………。
「(食うべきなのか?いや、しかしそれではもはや恋人同士という風に見えてしまうのではないか?いやいやしかし今は誰も見ていなくて俺達二人っきり…って、二人っきり?)」
そう、そこで初めて俺は今自分がどれほど危険な状態に陥っているかようやく気がついた。
思春期で年頃の男女が誰もいない部屋で二人っきり…。
あ、やべ…。
自然とことみの顔に近づいていく。

漆「ここで解説しよう!龍夜はもう本当に楓のせいで溜まるに溜まっているのでキスくらいで済ませれる理性は素晴らしいぞ。」

「龍夜…くん?」
右腕は肩に、左腕は背中に。
「ふぁっ…りゅ…う…や…くん…。」
そして相手のことみも龍夜に好意を抱いており、やってはいけないこととわかりつつも拒めないでいた。
そしてことみに握られていたお箸で挟まれた卵焼きは床に転がり落ち、ことみと龍夜の目の前には、
お互いの唇、“禁断の果実”があった。
そして二人の顔の距離が10cm、5cm、そし殆ど密着した状態になった時、
Prrrr...Prrrr...
龍夜の持つ携帯電話の着信音によってキスは阻止された。
そしてその送信相手は…
「げっ!楓!?」
「…楓?」
その名前を聞いてことみの目は一瞬悲しそうな目になるが、龍夜はそれどころではないといったような勢いで電話に出る。
ピッ
「ああ、もしm「兄ちゃん?言っておくけど一人暮らしだからって彼女なんて作ったら…わかってるわよね?」
………………。
すまん、楓、それは叶わぬ願いとなりそうだ。
「やだね、もうお前の呪縛になんか付き合ってられるか!」
「に、兄ちゃん…?そこに誰かいるの?」
「あ〜もう…取りあえず切るぞ?いいな?」
「あ、ちょttブツッ」
ツーツーツーツー...
携帯電話をそのまま床に放り投げ、再びことみの肩に手を置く。
びくっとことみが震えるが、そのまま抱き寄せて、
「大丈夫、怖くなんかないしお前を一人にさせたりもしない。」
「龍夜くん…。」
そのまま二人はしばらくの間ずっと抱き合っていた。



*二十分後*



「もう、大丈夫だよな?」
数十分の間ずっと抱き合っていたせいか、妙に胸の鼓動が早い。
「うん…。」
ことみもまた同じようで、顔を少し紅潮させながら頷く。
…これはもう並の男なら理性失ってるんじゃなかろーか。
「龍夜くん。」
「ん?」
お互いの背中をくっつけるように背と背を向けながら座っていることみが、俺に話しかけてきた。
「私ね、朋也くんのことも大好きなの。」
「あぁ。」
見ればわかる。
「でもね…それ以上に龍夜くんがもっともっと…ううん、もっともっともっと…さらにそれ以上に大好きなの。」
さりげなくとてつもなく恥ずかしいことを言っている自覚がないのだろうか、そのままはきはきと続ける。
「だから…ね?」
「あぁ。」
俺の心にもう迷いはなかった。
それはきっと、ことみも一緒。
「付き合って…ほしいの。」
「……………。」
俺は、行動で返事をした。
「んぅっ!?」
「………。」
「んっんぅぅー…んん…………。」
最初は戸惑ったことみだったが、すぐに受け入れてくれる。
ことみの唇は柔らかく、果実のように美味で、とっても甘かった。
それで俺は満足だったのだが、ことみはそうはいかなかったのか、
れろっ
「ん…?」
俺の口の中に舌を入れてきた。
それを俺は一切抵抗せずに、優しく、ことみに合わせて舌を動かす。
「んっふぅっはぁっ…。」
ことみは甘ったるい声を漏らしながら、それでもフレンチキスをやめなかった。
「んっはぁっふぅっあぁっ…。」
次第にことみは俺に身を委ねるだけでは物足りなくなったのか、足で背中に近い腰を自分の体とくっつけるようにはさみ、さらに両腕で首をしっかりと自分の体に寄せる。
「(…結構大胆なのな。)」
ならもうワンランク上にいっても問題ないだろうと想い、舌で相手をするのではなく、ことみの舌による攻撃をそのさらに上をいく凄まじいまでのねっとりとして甘美な舌攻撃を開始する。
ことみはその攻撃に抵抗ができないどころか、目からは涙が浮かぶほどの快楽に酔いしれてしまっていた。
「(何…これ…すっごく気持ちよくて…甘くて…いい…の)」
そうしている間にもことみの煩悩は益々ヒートアップしていき、危うくR-18に行きかけるがなんとか龍夜がキスによる凄まじい攻撃でことみを制する。



    * * *



「ごちそうさまでした。」
「ごちそうさま。」
長い長〜いキスを終えた時には既に11時をまわっており、俺はすぐ戻ろうとしたのだがことみに涙目の上目遣いによる「いかないでほしいの」攻撃にあえなく墜落。
そして4時間目が終わった今ことみの弁当を食べていたのだが、「あ〜ん」攻撃が止まるという事を知らないかのようなペースで俺の口に食べ物を運ぶことみに少しやれやれと思ってしまった。
まぁ、そこが可愛いのかもしれんが。
「龍夜くん。」
「ん〜?」
昼飯も食い終わったので教室に戻ろうとするとことみが話しかけてくる。
また何かおねだりするんじゃなかろうか。
「今日私の家来てほしいの。」
…………………おねだり攻撃じゃなくてそうきたか。
正直、今日は色んな意味で疲れたし今日は妹が彼女を連れ出していないか家に来る検査をするそうなのだが…
「ん〜…ことみが俺ん家来るならいいぞ。」
俺がそう言ってすぐに、
「うん、じゃあそのまま龍夜くんの家に泊まるの。」
………………ことみさん、あなたは何をおっしゃているのでしょうか?
「泊まる?」
「うん。」
「家の人は?」
「………………。」
その目と表情ですぐさま事情を察し、
「わかった、じゃあ俺ん家泊まりに来るか。」
そう言うと暗い表情なんてそっちのけで、
「うん!」
眩しい程の笑顔でそう言った。
「んじゃあ俺教室戻るから。」
「うん。」
今度はあっさり返してくれた。
っていうか今更ながらことみは図書室の番人か何かか?毎日ここに居そうな気がするんだが…。
「…ま、いっか。」
廊下を歩きながらそう呟く。
そして新校舎に戻り、一年生の廊下を歩いていると、
「それでね〜、兄ちゃんがさ〜…。」
ピシッ
楓が、いた。
俺はすぐさま縮地で階段まで逃げる。が、
「あ、兄ちゃん!」
ビシッガッシャーンバラバラ...
気づかれずに逃げるという俺の儚い抵抗も空しく終わった…。
「(こうなったら他人のフリするしかないな…よし。)」
そう決め込むとまるで楓の声がちっとも聞こえなかったように俺は歩き出す。
「兄ちゃ〜ん♪」
だきっ
……………………ダメでした。
「なんだ…楓。」
「もぉ!さっき電話してなんで切っちゃったのよ〜!あの後電話しても全然出ないしさぁ〜…。」
そりゃそうだ、バイブ機能も着信音も何も鳴らない状態にしたから楓から電話が掛かってきたなんて知らねーぞ。
「あぁ…悪かったな、急用が出来たんだ。」
そう言うと紫色の大きな目をキラーンという音が聞こえてきそうな感じで光らせ、
「兄ちゃん…女作ったでしょ?」
何言い当ててるんだよこいつは。
これからは読心術者と呼んでやろう。
「…あぁ、彼女作ったけどそれがどーした?」
そう聞くと群青色の膝辺りまで伸びた髪が一気にゴゴゴゴゴゴゴゴ...という音が聞こえそうな感じで逆立つ。
「うぉっ。」
目も俺曰く“死神の眼”になっていた。
「兄ちゃ〜ん?」
「…あんだよ。」
「彼女なんて作ったら殺すって言ったよね〜?」
「…そんなことを言ってたような気がするなぁ。」
アホアホトークが始まった。
「兄ちゃんの彼氏はだぁ〜れ?」
「名前は伏せておくが同学年だ。」
「違うでしょ〜?目の前にいる一個年下の可愛い〜女の子だよ?」
また、始まったか。
「ここ…学校だぞ。」
「だから何?」
急に声が低くなった。
…はぁ、俺は一生こいつの気持ちが理解出来ないままに死ぬんだろうなぁ…とかアホなことを考えていると、
「…死んじゃえ。」
「スクー○デ○ズかよ。」
っていうかこの頃まだそんなの発売されてねーし。
とかアホな事を考えていると楓の拳が飛んできた。
俺はすぐさま顔をずらし、避けてそのまま楓の右腕を掴んで体を持ち上げる。
「きゃああぁぁ!?」
「お前本当懲りないのな…。」
周りからは男女問わずにキャーキャーワーワー言っているが黙っとけよ…うるさすぎる。
「あのな…いつまでもお前とはいられねーっつの。」
「…そんなことないもん。」
「そんなことあるんだよ。」
「ないもん。」
「あるんだ。」
「ない。」
「ある。」
「ないったらない!」
「あるったらある。」
そう言うとポロポロと涙を流し始める。
しまった…泣かした。
「あ〜…悪かった悪かったって、だから泣くなよってあ〜も〜…ガキかお前は!」
朝からまともに休めてる気がしません…。

そんな俺に…

わんもあぶれーっいく!



あとがき。
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わんもあぶれいく3
2008-02-15 Fri 02:29
全力で通学路を走り、追い越す奴の中に、呆気に取られてこっちをじ〜っと見えなくなるまで見ていたが気にしない。
「遅刻だぁ〜〜〜〜〜!!」
転校初日から遅刻はないんじゃないか、俺。



*わんもあぶれいく:春原いじめ*



春「春原いじめってなんすか!」
龍•漆「黙れ。」
春「ひぃっ!?」



「ぜぇ…ぜぇ…」
「あ、君が神代君だね?」
ほんっと〜に全力で走ってきたから何とか遅刻しないで済んだが、体力的にはもはやボロボロなわけで。
「ぜぇ…はい。」
「じゃ、こっちだ。」
そして担任に案内され、その後をついていく俺。
「あ、あの人転校生でしょ?」
「うわぁ〜格好いい〜!」
…何かこっちみてんな…。
じろじろ見られて何も返事をしないわけにはいかないので、苦笑になりそうなのを抑えつけて微笑に無理矢理変えて軽く手を振る。
「あ、手振ってくれた!」
「きゃ〜いいな〜!」
…むっかしから女子にはこんな感じでキャーキャー騒がれるのは元々だったのだが、年を重ねるごとにその内容は違ってくる。
幼稚園までは女子高校生に
「きゃ〜かわいい〜!」
小学生からは男女問わず
「格好いい〜!」
中学生からは先輩後輩問わず、
「付き合ってください!」
高校生からはもう騒音に相違ないほどうるさくなって…。
無論、彼女を作る気など一切ない。
理由1:付き合いだしてしまえば気を使わなくなる代わり、ねだってきそうだから。
理由2:妹が彼女みたいな感じってなくらいべったべた。
理由3:楓が包丁を突きつけてくる。(マジ話だぞ。)
まぁそんな理由があるから付き合えないし、友達になることすら楓から禁じられている。(今は一人暮らしだから問題ないかもしれんが)
これから先どうなるんだろ…と、ど〜でもいいようなことをボーッと考えていると、
「ついたよ。」
「あ、はい。」
いつの間にか教室に着いていたらしい、クラス札を確認すると、
“2-B”
朋也達と同じクラスなのか…と頭の中で呟く。
「では、ここで待っていてくれ。」
「あい。」
かなり気の抜けた返事をする。
「あ〜今日はみんなにいい知らせがある。」
…俺が…いい…知らせってことか?
「転校生が家のクラスに来た!」
そう担任が言うとざわっと教室が沸き上がった。
「あ〜静かにしろ〜。」
そう担任が言ってもざわつきは収まらず、途端に一人の男子が、
「転校生は女子ですか!?」
と、担任に聞いていた。
「いや、男子だ。」
そう言うと男子は急にテンションダウン、女子はテンションがかなりアップしていた。
「…本当にここ進学校なのか?」
俺にそんな考えをもたらせるほどの馬鹿さ加減に少し呆れる。
「やっぱ…前の学校が固すぎただけなの。」
そんな独り言をボソッと言うと、
「じゃ、転校生入ってこい。」
声が掛かったので扉を開け、ふっつ〜〜〜〜〜〜の顔で教室にはいる。
「黒板に名前を書いてくれ。」
黒板に文字を書くのは嫌いだ。
何故なら手が汚れる上に黒板にチョークを叩きつけるような音がなんともうるさく、ノートに書き写す際に相当耳障りな音なのだ。
「はい。」
チョークを受け取ると、0.8秒で名前を書き終え、
「神代(かみしろ) 龍夜(りゅうや)と言います、よろしく。」
一部呆然とする男子だが、女子は歓喜と狂気の区別がつかないくらいの大きな声でキャーキャー騒いでいた。
「あの〜…うるせーんすけど。」
「なっ君!」
担任の言葉を思いっきり無視し、驚いたような表情で俺の顔を見るB組の生徒全員にはっきりと言った。
「家のクラスは転校生が来て楽しいのかもしんねーけど、他のクラスは一応普通のHR中だから静かにしてくんない?」
うるさいのが嫌いなだけでそう言っただけなのだが、言い終えたあと金髪のいかにもヘタレっぽそうな奴が、
「あぁ?てめぇ転校生のクセして偉そうな口聞いてんじゃねぇよ!」
「…うるせーな、潰すぞ。」
いつも喧嘩をする時の他の奴ら曰く、“鬼の眼”で睨み付ける。
「ひいぃ!?」
………………
「ヘタレ。」
「誰がヘタレなんすかねぇっ!?」
「「「えっ?違うの?」」」
見事に他の奴とハモった。
そしてその瞬間どっ笑い声が教室中に響きわたる。
「ちょ、岡崎!杏!」
ああ、朋也と藤林か。
「あ〜、お前等静かにするように。」
担任が言うとし〜んと静まり、ヘタレも黙って机に突っ伏した。
「君も、汚い言葉は控えるように。」
「はぁ、すんません。」
かな〜〜〜り素っ気なく返す。
「まぁそういうことだ、神代君はあの席ね。」
そう指を指す先には…
「(げっ!?藤林!?)」
途端にそう叫びそうになるがなんとか堪える。
「…はい。」
仕方ないのでしぶしぶ席につく。
「あんたいい度胸してるわね〜…。」
藤林がそう言ってきたので、
「そりゃどうも。」
と、軽く返す。
「じゃあ転校生の紹介も済んだところで、授業を始めるぞ。」
一つ言い忘れてたことがあったので担任に手を挙げる。
「はい、先生。」
「なんだ?」
信じてもらえるかは置いておくが、一応言ってみる。
「理事長から授業免除をしても良い言い渡されてますが、一応出ておきますんで。」
そう言うと藤林と朋也以外のクラス全員が驚いたように俺を見る。
「わかった、後で理事長に連絡しておこう。」
担任は特に驚く様子もなく、承諾する。
何だ、聞いてたのか。
で、今担任が行っている国語の授業とは全く無関係の数学の学校のものではなく、家から持参してきた科学理論の問題集のようなものを取り出し、ざっとノートを二冊広げ、狭いと思いながらもシャーペンで答えを書いていく。
周りは、カリカリ...カリ…。
という速度だが、俺は、
かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか...と、自分でも忌まわしいと自覚が出るほどの速度と大きな音でノートに書き写す。
隣で見ていた藤林が眼を丸くしながらノートを見ていた。
担任も多少ながら驚いていたようだ。
周りからはノートや教科書をめくる音は一切聞こえないが、俺の科学理論問題集の本のめくる音が約5分おき、ノートをめくる音が40秒〜1分の間隔でめくられていた。
かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかぺらっかかかかかかか...
そんな無機質な音をBGMに、1時間眼終了一分前に、俺はぴたっと手を止め、ノートをぱらららら...と見直し、間違いがないことを確認して若干薄目の眼鏡を外し、本とノートを鞄に突っ込み、チャイムが鳴るまで頬杖をついてボーッとしていた。
キーンコーンカーンコーン...
「よし、今日はこれまでだ。委員長、号令。」
そのタイミングとほぼ同時に担任の声がかかる。
「きりーっつ、れい!」
藤林の号令が終わると一瞬にして女子が俺に寄ってきた。
「ねぇねぇ!何書いてたの!?」
……………
「宇宙化学の理論問題集…。」
そう答えると、頭にはてなマークを浮かべて、
「何、それ?」
「多分どっかの宇宙研究の教授とかに聞けば教えてもらえるよ。」
とても言葉では説明できないのでそう言って流しておく。
「ど〜せ適当に線とか点とか書いてただけなんだろ?」
さっきのヘタレがこっちにくる。
「あぁ…誰かと思えばさっきのヘタレか。」
まるで興味なんてないという風にそう言うと、
「だから僕はヘタレじゃないって言ってんだろ!?」
アホ面して俺に向かって叫ぶ。
それを聞いた藤林が、
「事実じゃない。」
「お前までいうkぶべぼっ!?」
何かを言いかけたヘタレが投げつられた辞書で床とキスをしていた。
「…漢和辞書…?」
そりゃまた結構分厚いものを。
「ったく、ヘタレはいちいちうるさいわね。」
「…お前か、藤林。」
呆れ口調でそう言う。
「あ〜…藤林じゃなくて杏って呼んでくれない?」
そう言われたので、
「わかった、じゃあ今から杏って呼ぶわ。」
そう言う。
「よぉ、龍夜。」
後ろから女子の群を避けて朋也が来た。
「あぁ、朋也。お前もずっと寝てたよな。」
「何だ、気づいてたのか?」
そう言われたので簡単に答える。
「視界に入っただけだ。」
………本当は一度声の聞いたことのある奴の寝息で誰のか大体わかるんだが…信じちゃあくれないだろうし、一般人からすれば超能力みたいなもんで余計何か聞かれそうなのであえて言わないでおく。
「しっかしすんごい音たててノートに書いてたわねぇ。」
「あぁ…もう殆どノートに空きがねぇんだよ。」
「天才って噂は本当だったんだな。」
「へっ、どうせガセだろ、ガセ。」
「おう、起きたかヘタレ。」
俺がそういうとまた何か叫びそうになるが何とか抑えつけたようで、その後さらに続ける。
「ふん、どうせ女に金でも渡してそう喋らせたんだろ?それともあっちの方?」
プライドが高いわけではないが、俺はとにかくこういうヘタレが大嫌いなのですっと後ろに回り込み、
「ん?何て言った?」
「なっ!?いつ後ろに!?」
ヘタレはかなりビビっていた。
「そんなに疑ってるんならノート見てもいいぞ。」
そう言うと藤林が待ってましたと言わんばかりにノートを机から引っ張りだし、パラっとノートをめくる。
…………やっぱりとんでもない女だな。
「え〜っと…時空が…光を……。」
「どうした?」
俺がそう聞くと、
「漢字が難しすぎてよくわからない、字はすごくきれいなのに。」
「まじかよっ!?」
さっきのヘタレがかなり驚いていた。
「…朋也、あのヘタレなんていうんだ?」
「さぁ、知らない。」
「ならヘタレでいいか。」
「だな。」
「あんたらそんな酷いことをさらっと一言でまとめないでくれますかねぇっ!?」
相変わらずうるせーヘタレだな。
「じゃ〜龍夜〜ノート鞄につっこんどくわよ?」
「あぁ、そうしとけ。」
本来なら突っ込むべきなのだろうが、こいつには何を言っても無駄ということがわかったのであえて何も言わない。
ブォンブォン!ブォン!
「…あ?」
「おお!乱入だ!」
周りの男子生徒女子生徒両方が騒ぎだす。
「へぇ…。」
二台のバイクが校庭で暴れている。恐らく、他校者かこの学校が気に入らないアホな連中だろう。
ボソッと呟くと自然に窓を開け、身を乗り出していた。
「ちょ、龍夜、何する気だ!?」
「下に行くんだよ。」
「ここ2階よ?」
しかし周りの制止を全く聞かずに、窓のすぐ前にある超細い足場に体を乗せて、縮地を使う。(縮地については表の方のGURE-THE-PHASE参照。)
「うわっ、マジで飛び降りやがった!」
「「龍夜っ!?」」
杏と朋也が叫んでいるが戻る気はさらさらないのでそのまま突っ込む。
着地した反動を利用して、そのままバイクに向かって縮地。
そしてバイクを両手で二台掴み、軽く跳躍して飛行状態を作り、体ごとバイクを回転させて不良共をぶっ飛ばす。「はぁっ!」
「ぐべぇっ!」
気絶して地面に突っ伏している不良達のすぐ傍にバイクを校庭の地面にめり込ませる。
「うおぉっ!」
ズンッ!!!
一瞬周りの看板や木達が揺れたような気がしたが気にせずに、不良達の方を向いて一言、
「カスはカスらしく裏路上ではいつくばってろよ…。」
反応なしのカスどもを放置し、教師達がくるのを待つ。
そしていつの間にか沸き上がっていた歓声に気づき、軽く手を振ってやると、女子達の黄色い叫び声か学校中を埋め尽くした。
「…女子の気持ちはわからんねぇ…。」
そうぼやくと身を縮め、思いっきり跳躍して教室へと向かう。
「おわぁっ!?」
「きゃぁっ!?」
男子女子共に驚いている。
無理もない、いきなり窓のすぐ脇にある棒のようなものを掴んでいるから窓に密着してないとはいえ、目の前に男子生徒が現れたのだから。
間違えて隣教室に入ってしまったが、そのまま中に入って、
「騒がせしました〜。」
と言って自分のクラスに戻る。
戻ると朋也と杏その多数の人が駆け寄ってきて、
「龍夜!あんた何者!?」
「お前ロボットか何かじゃないのか!?」
まぁ、至極もっともな疑問だな。
「まぁ…あっち方面のそれなりに心得があるもんでね。」
昔は地獄のような毎日だった。
小学生を卒業するまではあちこち生傷だらけで女子に毎日心配されたり、男子からも心配されたり、教師からも心配されたり…って、心配されてばっかじゃん。
で、修行内容はというと、柔道やボクシングやレスリング、さらにキックボクシングや中国拳法などいった様々なものを小学生になってからいきなりたたき込まれはじめ、中3にまでず〜っと地獄のような修行を積んできたのだが、師範レベルの人まで倒してしまってからは自己修行をするようにと言われ、今に至るわけだ。
「次の授業ってなに?」
とりあえず聞いておきたいことの一つなので、委員長である杏に聞いてみる。
「次は体育ね。」
「マジかよ…じゃあ体育は免除させてもらうから、教師に言っておいてくれ。じゃ。」
「え?あ、ちょっと!」
体育を嫌っている理由は一つ。
女子がうるさい、一般人とやってもつまらない、たまに力を入れすぎてボールを粉々にするときとか、体育館やさっきのように校庭に穴を開けてしまうとか、色々あるので出ないようにしているのだ。
「待ちなさいよ!」
思いっきり力を抜いて子供でも引っ張れそうな感じで歩いていたため杏の方向に倒れてしまう。
「げっ。」
「え?」
まずいと思った俺はとりあえずくるりと杏の方へ体を向け、ぶつからないように両手を両脇にどかせ、ドサッと杏が倒れるが、俺は何とか受け身を取る。
「わ、わりぃ!大丈夫か!?」
あの心配性の母親のせいなのか、人をよく心配する俺は大きな声で杏に声をかけてしまっていた。
「え?あ…。」
「あ…。」
今の体勢をよく見てみた。
どっからどうみても、俺が杏を押し倒しているようにしか見えなかった。
俺はあっちゃ〜…ぐらいにしか思っていなかったが、杏の方は顔を真っ赤にしながらボーッとしたような目で俺を見ていた。
「お、おい、杏?」
俺がそう聞くと、
「…はっ!」
ようやく我に帰ったと思ったら、
「何してんのよ〜!」
俺をグーで顔面を殴ろうとしていた。
「おっと。」
すぐさま後ろへ下がり、避ける。
「こんの〜…。」
「…あ?」
杏の手にはとんでもなく分厚い辞書のようなものが握られていた。
「ド変態ぃ〜!」
半ば恥じらいを含んだような怒声と同時に辞書のようなものを投げつけてきた。
パシッ
車と殆ど互角の速度だったため、すんでのところでだがなんとかキャッチする。
「なっ!あの藤林の投げた辞書をキャッチしたぞ!」
「うっそー!」
周りからは信じられないといったような声があがっていた。
……………
「…全六法書?」
こんなもんを片手で投げたのかよ、つくづく信じらんない女だね。
一般人の男でも両手で短い距離投げるのがやっとだろうに。
「じゃぁな。」
そして俺は杏が怯んでいる間に旧校舎へ逃げ込み、授業免除の暇つぶしの場所を探し始めた。



あとがき。
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わんもあぶれいく 2
2008-02-12 Tue 15:26
「………………。」
「さぁ朋也、私が誠意と愛情を込めて作ったカルボナーラにインド風タコスだ。絶対においしいぞ。残さず食べてくれ。」
「ほら朋也、私の作ったシーフードピッツァとバジル風味のマカロニサラダよ、残さず食べて♪」
「私が作ったのは霜降り和牛のレアステーキと紅玉アップルパイなの。全部食べてほしいの。」
かつて俺が見たことのないような豪勢な料理でしかもどれもうまそうなのは事実なのだが、
「…これ、俺一人で食えと?」
「「「あ、あはは…。」」」
こいつら、料理作ってるときに誰が一番おいしくて多く作れるかとか、そういう感じの勝負みたいなのをしていたんだろう。
この料理の量が全てを物語っているな。
「そういえばさぁ、明日転校生来るの知ってる?」
ちなみに俺らの学年を紹介しておこう。
全員高校二年生だ。
え?原作と違う?
そんな文句作者に言え。
漆風「おい、俺を殺す気か。」
朋也「殺されとけ。」
漆風「ひでぇな。」
「で、その転校生ってのは何年生なんだ?」
「同級生らしいわよ、何でもことみと同レベルの学力らしいわよ。」
「ほぉ。」
それを聞くとなんとなく期待ができるってもんだな。
「さ、早く食べて♪」
ちっ、誤魔化せなかったか。
そして俺はこのテーブルにでているありとあらゆる豪華な料理を無理矢理食わされることになったのは言うまでもない。



*転校生視点で三日前。*



「龍夜〜、早くしなさ〜い。」
「あ〜…わかった今いく。」
この中途半端な時期に転校ってのは、かなり気まずいというか、だるい。
「本当に一人暮らし大丈夫?」
「あ〜、大丈夫だよ。」
心配性の母が昨日から数分置きに聞いてくる一人暮らしのこと。
もういじめといってもいいんじゃないか?
ああ、早く一人で暮らしたい。
「ところで龍夜、料理なんてできたか?お前。」
「なんの冗談だよ、いっつも飯作ってるの殆ど俺だぞ。」
俺の両親、神代 勇也と神代 優花は、料理の腕はシェフ並のくせに、いっつも俺に飯を作らせる。
まぁ、もっともそれのおかげでこの家族で一番料理がうまくなったのだが。
「そういえば、楓(ふう)はどうした?」
「ああ、あの子なら買い物に行ってますよ。」
「相変わらず立派な妹だな…。」
楓というのは、俺の一つ年下の妹で、こいつも一人暮らしをすることになったのだが、何故かあいつも俺と同じ高校に転校するらしい。
で、俺とあいつの成績の差は歴然だった。
俺が全教科満点ならば、あいつは半分赤点という、非常に凄まじい差だった。なのでいっつも宿題の面倒を見なければならない。
しかも楓のやつ、ひっじょうに俺に甘える癖がある。
この前なんざ…



*1ヶ月前*



「兄ちゃ〜ん!」
「おわっ!」
いきなり背後から抱きつかれてバランスを崩してしまい、自然と楓に押し倒される形となる。
「ってー…お前なぁ…。」
「えへへぇ〜♪」
すりすりと頬と頬を擦りつけてくる。
「こら!くっつくな!」
「え〜、いいじゃ〜ん。兄と妹の関係じゃ〜ん。」
「アホか!」
こいつは外見は立派な女の子で、顔立ちも凛々しく、俺も時々はときめかされるとかあるくらいの美人なのだが、俺に対してはこうしてべったりなのだ。
「もう高校生だろがっ。」
「兄ちゃん…私のこと嫌い…?」
涙目の上目遣い。
………。
「あのな、好き嫌いの問題じゃなくて、俺以外にもいい男はいるんだからさっさと彼氏作ってそいつとべったりしてろっつーの!」
残念ながらそういうのは小学生から毎日のように受けているからな、正直慣れてしまって俺には効果がなくなってしまっているのだ。
「ぶー…。」
そしてそういうと決まって頬をふくらませわざと声に出して「ぶー…。」という。
「それより宿題教えてほしいんだろ?だったらさっさと見せろ。」
「ほんと!?いいの!?」
「…いちいち過剰すぎるんだよ、反応が。」
「やったー!兄ちゃん大好き〜!」
「あ〜、だからくっつくなっつーの!」
胸があたってるっての。



*そして現在*



てなことがあったわけなのだが、正直一人暮らしでああいううるさいのがいなくなるのはうれしい。
とはいえ、家事はよく手伝ってくれたからいやなことばっかりではない反面、少しだけ寂しいかもな。
「じゃあな、親父。おふくろ。」
「「気をつけて行って(きなさい)(こい)。」」
「へいへい…。」
こうして俺の一人暮らしが始まったわけだ。
家の前に止まっている引っ越し屋のトラックの後ろに乗せてもらう。
「じゃ、捕まってくださいね。」
「はい、すみませんね、わざわざ乗っけてもらって。」
「いえいえ、お礼には及びませんよ。」
このいかにも優しそうな人は俺の従姉の母さんの親友だという。
年は…38くらいだと聞いたが、下手を打てば女学生くらいの若さじゃないか?
そして他愛もない話をしながら走ること数十分。
眠気がふつふつと沸いてきた。
そして知らないうちに意識はブラックアウトしていた…。



*二時間後*



「でっけーマンションだな。」
どう見ても高校生が一人暮らしをするような家ではない。
そんなことをぼんやり考えていると携帯が鳴り出す。
『♪〜♪♪〜♪〜ピッ』
「はい、もしもし龍夜だけど。」
「あ、兄ちゃん?私だけど。」
楓からだった。
「あんだよ。」
明らかに今すぐ切りたいというのが伝わるような声で用件を聞く。
「お母さんから伝言で、『女の子連れ出してえっちなことが出来るように広くて防音対策の徹底された家にしたからね。』だって。」
………あの、親ばかめ…。
「そりゃどうもありがとうといっておいてくれ。」
ブチッ
電話を切って引っ越し屋さんのお手伝いをする。
周りから結構筋肉とかないよなとか言われているのだが、これでも力には自信があり、引っ越し屋さんが持ちづらそうな物もあっさり持ち上げたりとそれらしき面々が自分で理解できた。
「本当に、大丈夫ですか?」
「はい、これ以上手をお借りするわけにはいきません。」
引っ越し屋さんも疲れきっていたので、もうこれでいいですと丁重にお断りし、さっそく荷物を配置し始める。



*数時間後*



「つっかれたぁ〜…。」
さすがに一人でやるのは疲れたが、全ての整理が完了した。
…よし、埃も落ちてないな。
「もう9時か…。」
そんな時間までせっせと荷物の配置をしていたのか。
…隣の人とかに迷惑してなければいいけど…っていうか、挨拶しにいかないとな。
財布の中身をチェックする。
一万円が六十枚。
五千円が十枚。
千円が二十枚。
小銭が少々か。
まぁ、贈り物を買うくらいの金はあるかな、家賃等は親が払ってくれるそうだし。
そう考えると近くの商店街にまで散歩がてら出歩くことにした。




………………迷った。
まずいな、これは。
しかもガラの悪いのがうろついてるよ…。
「おいってめぇっ!」
おっと、噂をすればだな。
「金貸してくんねぇかなぁ?ちっと財布忘れちまったんだぁ。」
………金がなくなったの間違いだろ。
「悪いね、他人に金貸せるほどもってないんだ。」
「あぁ!?生意気言ってんじゃねぇぞこのクソガキ!」
「はぁ…。」
一つ溜め息を吐くと、
バキィッ!
「がっ…。」
軽くボディブローを入れてやった。
ドサッと倒れた不良はぴくりとも動かず気絶している。
「弱…。」
正直な感想だった。
そしていつの間にか周りに不良の群が出来ていたかと思えば、
「げっ!坂上だぁ!」
…坂上?
「逃げろ!何されっかわかんねぇぞ!」
そういうと俺の周りを囲んでいた不良共が一目散に逃げ出す。
「…お前は逃げないんだな。」
「…は?」
どこからどう見ても、美人の女学生がそこにいた。
「お前もあいつらの仲間か?」
あぁ〜…そういうことか。
こいつはここではボスというよりも、強すぎるから避けられてるってことなのか。
可哀想な女だな。
「ま、そんなもんじゃないか?」
軽い冗談を言ったつもりだった。
だが、それを聞いた瞬間あの女が俺の懐に入り込んできた。
「お。」
そう呟くと思いっきり蹴り上げられる。
ゴスッ!
結構力もあるし、狙いも正確だな。
まぁ…なるようにやるしかないか。
空中で一回転した後、体勢を立て直す。
そして身構えた瞬間、もの凄い速度の蹴りが飛んできた。
「げっ。」
これはまずいと思った俺は、同じ速度で蹴りで蹴りを防ぐ。
どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!どぐし!
蹴りが終わり、少し後ろに下がって着地する。
「ほう、他の奴らとは違うんだな。」
「…ここがどんな所かはしらんが、俺はあいつらの仲間じゃないぞ。一応まともな生活を送っているつもりだ。」
「そうか…さっきのは冗談だったというわけか。」
「あんたがあんまりにも殺気に満ちた顔をしてるもんだからなぁ。」
そう言うと、
「そうか…すまなかった。」
中身は真面目な人間らしかった。
「お前、名前は?」
「神代 龍夜だ。あんたは?」
「私は坂上 智代だ。」
「覚えとく、んじゃ。」
「ああ。」
そう言うと俺は坂上の横を通り過ぎてようやく目的の商店街へでる。
そしてさっさと目的の物を買ってさっさと家へ帰った。
「ふぅ…。」
久しぶりに激しい動きをしたから少し疲れたようだ。
時間はとうに10時を回っていた。
…挨拶は明日でいいか、転校の手続きとかで日曜まで休みだし…。
ていうか、今日木曜日…だよな。
そう考えベッドに寝転がると、相当疲れがたまっていたのか、あっと言う間に意識はブラックアウトしていった。



*三日後*



「やっべ…三日ずっと寝てる俺って…。」
時間は午前8時。
休日の起床時間としては申し分ないものの、もしこれが明日まで続いていたら…。
「一人暮らしができるって思ってたのが悪かったかな…。」
気を取り直してベッドから起きあがり、一応携帯をチェックすると…、
157件着信アリ。
………怖え〜…。
三日でこの量はないだろう。
で、その馬鹿みたいな数の電話を寄越して来た馬鹿は…
「楓か…。」
神代 楓
神代 楓
神代 楓
神代 楓



いや、これは本当に怖いぞ。
1分のうちに十回くらい電話してきてるぞ…。
そんなことを考えていたら電話が掛かってきた。
Prrrr...Prrrr...ピッ
「はいもしm「こらぁ〜〜〜〜!兄ち〜〜〜〜〜〜ゃん!」
どでかい声で超長い叫びが携帯越しに聞こえてくる、朝っぱらから元気な奴だな。
「あぁ、どうしt「どうしたじゃな〜〜〜〜〜い!!!」
…うるせー。
「で、用件h「三日間何やってたのよ!心配したのよ!」
…まぁ、いくら楓でも三日間放置は可哀想だったかな。
「悪かったな、ずっと寝てたんだ。」
「はぁ?」
いかにも呆れたような口調でそう言う楓。
あいつが今どんな顔をしているか手に取るようにはっきりとわかるぞ…。
「ま、そういうことだ。もう電話してくんなよ、怖え〜から。」
ブツッ
…最近あいつに冷たい気がするが…気にしないでおこう、あえて。
「…暇だな、そこらへんぶらつくか。」
服についたシワを軽く伸ばし、少しボサッとしている髪の毛をワックスで形を整え、思いでのネックレスを付けて外に出る。
このネックレスは俺が高校に入る時母さんがちょっと奮発して買ってくれたものだ。
銀の装飾の中にルビーの宝石をはめ込んだ、アミュレットかと間違うくらい大きなものだ。
「ふぁ〜…。」
そして外をうろつているうちに、12時を報せる時計のチャイムが鳴る。
「あぁ…もう昼か。」
近くにファーストフード店を見つけたので、そこに入る。
「いらっしゃいませー。」
まだ人の少ないファーストフード店に営業スマイルを貼り付けた店員が大きな声で言う。
「えっと…じゃあ、ビッグ○ックのセットでポテトとコーラ。LLでお願いします。」
「かしこまりました、お持ち帰りですか?それともこちらで召し上がりますか?」
どっちでもよかったのだが、わざわざ家に帰って食いたくはなかったし、公園で食うにも子供達がきゃっきゃうるさそうなので、
「じゃ、食っていきます。」
かなり素っ気なくいったためか、店員が少し怯えたような顔をするが、すぐに営業スマイルを貼り付け、
「かしこまりました!少々お待ちください。」
ボーッとしているとガラス制のドアごしに見えた俺と同い年くらいの女子三人と男子一人。
「ありゃ〜可哀想だな…男子のほう。」
とか言っているうちにこっちに向かってくる、まさかここに入る気か?
ガーッ...
マジで来やがった、出来れば同い年くらいの奴にはすれ違いたくもなかったんだが…。
「ほらほら朋也しっかりしなさいよ!」
「あんだけ飯腹に突っ込まれればこうなるわ…。」
朋也と呼ばれた男子は腹が少しでっぱていて、気分はとてもじゃないが優れているようには見えなかった。
色男は大変だなぁ、朝からいきなり三人に飯食わされたのか。
「ほら朋也、しっかりしろ。」
あ〜…坂上って確かあんなかんz…
「って坂上?」
「む…お前は…。」
俺が名前を呼ぶと反応し、一瞬睨むようにこちらを見た後、思い出したように表情を元に戻し、
「ああ、神代か!」
そう坂上が言うと紫のロングヘアのどうみても男勝りの女子が、
「へ?知り合い?」
「まぁ、ちょっとあってな。」
「いじめる?いじめる?」
「いや、初対面でそんなことする気ねぇから。」
「とかなんとかいって、私達の誰か狙ってたりするんでしょ?男っていやよねー。」
…何て女だよ、こいつ。
「そこいるのも男だと思うんだが…。」
「ん?ああ、こいつ?いいのいいの、私の彼氏だし。」
「な、何を言う!朋也は私の彼氏だ!」
「ことみのなの。」
………やはり、哀れだなそこの男子。
「っていうか、迷惑だから静かにしてくれ。」
そう言うと紫のロングヘアの方がピクリと眉を動かし、
「へぇ?この私に文句付けるとはいい度胸じゃない。」
…ますます哀れだな、そこの男子。
「哀れむ暇があったら助けてくれえええぇぇぇ!」
人の心を読むなよ。
っていうか、周りの客はみんなざわつきながらニヤニヤしている。
わかいわねぇとか、あの人格好いいとか、時々俺や朋也…だったか?そいつをちらちらと見て言う奴もいるのだが、ぶっちゃけ今はどうでもいい。
「喧嘩なら受けてたつが…ここ店だし、補導されてもいいんならやるけど?」
そう言うと紫の髪の女は怯み、名前を聞いてきた。
「くっ……まぁいいわ。あんた、名前は?」
「神代 龍夜。あんたらは?」
そう聞くと髪を手でふわっと揺らし、全員でこっちに近づいてきて、適度な距離になったところで、
「私は藤林 杏、で、こっちが一ノ瀬ことみと、こっちは岡崎 朋也よ。」
「ふぅん…まぁ、よろしく。」
かなり素っ気なくなってしまった、まぁ、俺の性格だからしょうがないんだけどさ。
「俺のことは龍夜でも神代でもいいよ、好きな方で呼んでくれ。こっちもそんな感じで呼ぶから。」
「お待たせしました。」
自己紹介をしていると店員が注文したものをお盆に乗っけて持ってきた。
「あ、どうも。」
それを片手で受け取り、時々指でクルクルと回しながら、
「じゃ、またどっかで。」
そう言って二階へあがっていく。
そして禁煙席の方へ行くが、一人用の席があいていなかったのでやむを得なく四人用の席に着く。
ハンバーガーの袋を適当に広げ、頬杖をつきながら口に運ぶ。
しばらくそんな格好でボーッとしながらハンバーガーを食っていると、
「あ、いたいた!」
「げっ…。」
さっきの女子三人と男子一人がこっちに向かってくる。
「あんた一人できたの?」
挨拶もなしにいきなり話しかけてくる。しかもこいつお盆に乗っけてるのジュースとアイスだけじゃねぇか…。
「まぁ…引っ越してきたばかりで友達もいねぇしなぁ。」
「ふうん…。」
「どこの学校に通うんだ?」
朋也が俺に聞いてくる。
「○○高校。」
「「「「えっ?」」」」
四人揃いもそろって同じ言葉を並べる。
「…まさかお前等、」
そのまさかだった。
「私は2-C組で、朋也もC組。で、ことみがA組で、智代は1-D組よ。」
「てことは坂上は一個年下なんだな。」
楓と同い年か…。
「まあ、そういうことだ。」
「神代くんは何年生なの?」
一ノ瀬が俺に聞く。
「2年。」
「じゃあ俺らと一緒か。」
「そうだな。」
そんな他愛もない話を一時間程したあと、お開きとなった。
「じゃあ明日学校で。」
「は〜い、ばいば〜い。」
「じゃあな、龍夜。」
「ああ、じゃあな朋也。」
「神代くん、また明日。」
「ああまた明日な。」
「神代、また明日。」
「ああ、また明日。」
全員挨拶を終えると、交差点でそれぞれ違う道を歩き始める。
「ふぅ…随分慣れ慣れしいというか、フレンドリーというか…。」
でも悪い気はしなかったな。
「隣の人に挨拶して暇つぶしでもするか。」
そして家に到着し、お裾分けというほどでもないが、茶菓子と茶葉をそれぞれ隣人に渡し終え、暇なのでテレビをボーッと眺めていると、
ピンポーン
「は〜い。」
ドアを開けると、宅急便だった。
「お届け物でーす、判子お願いしまっす!」
ポンと判子を押し、
「どうもありがとうございました。」
「こちらこそ。」
挨拶を交わし、荷物を受け渡し、宅急便の人は帰っていった。
「あぁ…制服か。」
もう二学期だし、夏服か。
そんなどうでもいいようなことをぼんやり考え、暇つぶしにキング○ムハー○をやっていると、
「もうこんな時間か…。」
時計は午後の7時を指していた。
「…寝るか。」
今日もどっと疲れた。
寝間着に着替えてベッドに突っ伏して約数秒で俺は眠りに落ちていった…。


あとがき。
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わんもあぶれいく
2008-02-12 Tue 02:04
不思議な夢を見た…ような気がする。
俺と誰かが、デート…か?
とりあえず一緒に町を歩いている夢を見た…ような気がする。
相手まではわからないが。
「あんな夢見るなんて、割と俺も飢えてるのかもしれないな。」
そんなあり得ないことをぼんやりと考えながら制服に着替える。
時刻は午前7時。随分と早く起きてしまったものだ。
そして、今更重要な事に気がつく。
「今日、日曜日じゃねえか…。」
ようするに、二度寝しても誰にもなにも言われないのだからこのまま寝てしまっても誰も文句を言わないのだが、
「何か…外から殺気のようなものを感じる。」
それはもう既に慣れたはずのものだったのだが、今日のはまた一際凄まじい密度の殺気だ。
「…杏…か?」
ちらりと窓を覗くと、
「……なんだよ、この空間。」
杏を初めとしたメンバーが数人いた。
杏、ことみ、智代の三人が俺の家の前で正確には俺の家の扉の前で睨み合いながらインターホンをちらちらと見ている。
「…声、掛けた方がいいのか?」
しかし声を掛ければ更に状況は悪化し、ただでさえ修羅場のような状況なのにこれ以上悪化させるとなると…。
「地獄絵図の完成ってか。」
それだけはどうしても避けたいが、どうしたもんかね。
ガラリ。
結局、声を掛けてしまった。
「おい、おまえ等なにやってんだ?」
そう言った瞬間、三人の視線がさっと俺の方に向けられる。
「………………。」
怖ぇ!
一人は鬼のような、一人は鬼のような、一人は鬼のような…って全員鬼じゃねーか。
「「「誰が鬼だ(なの)ーーー!」」」
辞書と小説と石が俺に向かって吹っ飛んでくる。
「うぉわっ!」
それぞれを間一髪で避ける。
「殺す気か!」
三人はそんなのどうでもいいと言わんばかりに、
「「「朋也(くん)!この女(の人)とはどういう関係(なの)!?」」」
「…全員友達だけど。」
そう言うしかなかった。ていうか、事実だし。
「「「えっ…。」」」
三人揃いにも揃って信じられないと言ったような目で俺を見る。
「…何か変なこと言ったか?」
そう聞くと杏が、
「なんで!?体育館倉庫のあれは何だったの!?」
「いや、あれは呪い級のおまじないのせいだ。」
「じゃあ、先週の日曜日私と買い物に付き合ってくれたのは!?」
「それはお前が外にでないと体によくないって無理矢理連れ出したんだろうが。」
「じゃ、じゃあ、昨日私の家に来てくれたのは…。」
「お前が遊びにこないかって誘ったんだろう?」
それぞれの言葉に至極もっともな答えは返すと、
「「「そんな…私はてっきり付き合ってくれてるのかと思ってたのに…。」」」
「三人ぴったり0.1秒の狂いもない速度で同じ事を言うな、怖い。」
「「「朋也(くん)の馬鹿ーーーー!」」」
そう言うと扉を三人で、いや、智代がお得意の蹴りで壊して三人で突っ込んできた。
「ちょ、まっ、」
そう言った時には三人とも俺の目の前に迫っていた。
「「「朋也(くん)!!!」」」
「は、はいっ!?」
思わず敬語を使ってしまうほどの迫力と殺気。
ていうかことみの豹変には本当に驚かされる。
「(確か、先々週までは結構おろおろしてたような気がするが。)」
つーかそれよりもこの三人の目つきがやばいって、下手を打てば死ぬな…これは。
正解率1%の惨劇。
いや、そこまで酷くないはずだ、うん。
「今から私とゲーセンよ!」
「悪いな、文無しだ。」
「なら朋也、私と今から散歩がてら買い物だ!」
「いや、この時間はどこも店開いてないだろ。」
「なら朋也くん、私とお昼寝するの!」
「悪いな、生憎お前等のせいで眠気なんてないぞ。」
全拒否。
というかどれも都合が会わなさすぎるだけなんだが、こう全員の誘いを断るのはさすがに気まずいというか、心が痛むぞ。
「「「なら、えっちする(わよ)(ぞ)(の)!」」」
「アホかお前等!!」
ああ、亡くなった母さん、俺にわんっもあぶれーっいく!



*わんもあぶれいく*



で、結局どうなったかというと、
「すぅ…すぅ…。」
「く〜…く〜…。」
「すやすや…。」
一番上から杏、智代、ことみの順の息の音なのだが一体こいつらどういう状況で寝てるかというと、
「さすがに…痺れてきた…。」
俺はお前等の枕じゃないんだぞ。
そう、今のつっこみを聞けばだいたいはわかってもらえただろう。
ひ ざ ま く ら である。
あ、そこ、羨ましいと思ったな?なら変わってやるよ。
多分、開始五分で太股と足が痺れるからやってみな?
「って何で俺こんなことしてんだろな…。」
せっかくの休日に奇襲とも言えるようないきなりの訪問。
今日は疲れたな…まだ8時なんだけど。
「おい、お前等起きろ。」
「「「すぅ…すぅ…。」」」
反応なし。
それどころか、より一層気持ちよさそうかつ深い眠りに入ったようだ。
子供か、こいつらは。
とかなんとか思っているうちに眠くなってきた。
「くそ…変な時間に起きたのが悪かったか。」
本格的に眠くなり始め、うとうとし始めてしまう。
「今寝たら…何…される…か…。」
その一言を最後に、俺の意識はブラックアウトした。



    * * *



「…や、…ろ。」
「…や、…さい。」
「…くん、…の。」
三人の声が聞こえる。
…今、何時だ?
ゆっくりと意識を叩き起こす。
「んぁ…。」
「うわ〜ダッサイ顔ねぇ…。」
起きて早々罵声を浴びせられるのは精神的に相当ムカつく。
「朋也、昼食ができているから、顔を洗ってこい。」
それに比べ智代はまだいい…っていうか、まるで付き合ってる恋人同士がするようなやりとりだな。
「朋也くん、デザートにはアップルパイとアップルティーがあるの。」
…どうでもいいが、こいつらくっつきすぎ。
「ああ、わかったからとりあえず離れろ、な?」
「「「それはいや(よ)(だ)(なの)」」」
「お前等…。」
すぅっと息を少しだけ吸って、
「少しは俺に休ませろ〜!」



あとがき。
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もし体育館倉庫であれがこうなって(ry
2008-02-09 Sat 15:36
杏「死ね〜〜!」
漆風「がはっ!?」
春原「って結局俺なんすか…。」
漆風「後輩に蹴られ、後輩に盾にされる始末。哀れ、春原。」
杏「書くなっていったのに!」
漆風「アレーナンダカミミノチョウシガワルイミタイダー、ナニモキコエナイナー。(超棒読み)」
杏「こんのガキぃ〜〜〜!!!」
漆風「というわけで始まります。今回のお話は…タイトルで察せると思います。ではスタート!」
杏「するなぁ〜!」



ガコンッ!
「「ん?」」
朋也と一緒に体育館倉庫にボールを片づけにいっていたらいつの間にかドアがしまってる!?
「あ、あれ?」
「どうした?」
朋也が聞いてくる。
「ドアが開かない…外から鍵が掛かってるみたい。」
そう言うと朋也は手を合わせて、
「悪い!俺のせいだ!」
え?どういうこと?
ドアが閉まったのはこいつのせいで、今体育館倉庫の中には私と朋也の二人っきりで…って、
「まさかあんた、私に何かするつもりじゃないでしょうね!?」
「え!?」
数歩後ろへ後ずさると、
「きゃあっ!」
「あ、おい杏!?」
マットに足を引っかけて転んでしまった。
「……!駄目だからね!私達、付き合ってるわけじゃないんだし、それに……こういうのはお互いの気持ちが大切だし…。」
とにかく出てくるあらゆる言葉を使ってこの状況から脱出しようとする。
そうすると朋也は、
「…期待、してるの…か?」
とんでもないことを聞いてきた。
いや、確かに期待していると言われば期待しているのだけれど私は付き合っているわけでもないし、私は朋也が好きだけど朋也は私の事なんとも思ってないし…じゃなくて!何期待してるのよ私!駄目よ!素数を数えるのよ!えーっと…。
「…ぞ。」
「…え?」
朋也が小さな声でボソッと何か言ってきた。
「な、何?」
「だから…いいぞ…って。」
え?え?いいって…何が?え?
「そ、それって、え、え、えええっちな…。」
「まぁ…取り立てては。」
ボンッ!という音が聞こえたように思えたと同時に、体全身が熱くなる。
「だ、だめよ?私、そういうのあまり知らないし……は、初めてだし…。」
って何言ってんの私!
「あ、いや!そうじゃなくて、椋の気持ちも裏切れないし…その…。」
脚をもじもじさせながら何故か腕で胸を隠してしまう。
ブルマ姿でしかも上は半袖の体育着。
「…ごめん。もう我慢できねぇ。」
「きゃあっ!?」
朋也に少し埃の被ったマットへ押し倒される。普段なら抵抗して朋也なんか吹っ飛ばしてるはずなのに…なのに…。
「…抵抗…しないの…か?」
「……そんなのいちいち聞かないでよ。」
そっぽを向いて拗ねたような口調で言う。
「…なぁ。」
朋也は私の方を見ているけど、私は朋也の方を全く見れないでいる。だって…恥ずかしすぎるじゃない。
「…何?」
とりあえずそう言う。
「…俺、杏が好きだ。」
「な、何言ってんのよ!?こんな状況だからって調子にのっんんっ!?」
最後まで言うことは出来なかった。
朋也の唇が、私の唇を奪っていたから…。
「んぅ…んんーー!」
「んっ…。」
手をばたつかせて暴れても動く気配すらない。
足も同時にばたつかせたけれど顔を少ししかめただけで私とのキスをやめようとしない。
何でっ…何で私見たいのを好きになるのよ…。
「「ぷはぁっ!」」
そしてようやく唇が離れた後、私はすかさずこう言った。
「だ、駄目よ!これ以上はだめ!」
「…俺が嫌いか?」
…そんなこと言わないでよ。
「そ、そんなことないけど…。」
ほら…我慢できなくなってきちゃったじゃない…。
「俺は真剣に、おまえが好きなんだ。たとえ、お前が藤林と俺を付き合わせようとして必死なんだとしても、俺は真剣だから…。」
…もう、知らないわよ…馬鹿ぁ…。
知らず知らずの内に腕を朋也の首へ回し、朋也の顔を近づけさせ、キスをしていた。
「んぅ…。」
「んっ…。」
とっても、甘いキスだった。
ただ唇が触れ合うだけのキスだったはずなのに、何故か私にとってはとてつもなく甘く感じられた。
「ぷはぁっ…朋也ぁ…。」
「杏…。」
「あん…たの…せい、だから…ね。」
「え…?」
目の前にいる愛しい人の顔を見つめる。
朋也もそれに答えて、私を見つめる。
「大好き…。」
「うん、俺も好きだ。」
そしてどちらからともなく濃厚で甘くて激しいキスをする。
ちゅっ…ちゅるっくちゅっぴちゅっれろれろっくちゃ...
「んぅ…はぁっ…んんっんむっんんーーーっ!?」
お互いの舌を絡ませ合い、お互いの愛を確認するかのように、丹念にお互いの口の隅々まで、自分の唾液で染めていく。
でも、朋也はそれだけじゃない。
左腕で私の頭を支え、胸を開いているもう片方の右手で揉み始める。
「んんっはぁっくぅっ!」
抵抗するにも力が入らない上、朋也にだったらもっとされたいという気持ちと、これ以上の事をしてはいけないような気がして…。
「ぷはぁっ!…はぁ…はぁ…はぁ…。」
長いキスから解放された次は、朋也の激しいのだけれど優しい胸への愛撫によって、私はさらに深い快楽の渦へと巻き込まれていく。
「んぁっ!はぁんっ!朋、やあぁあ!」
「杏のその顔、すっげー可愛い…。」
いきなり恥ずかしいことを言われる。いつもなら蹴り飛ばすか辞書を投げつけているのだろうけど、今の私はもう朋也に愛されることで身も心もいっぱいだった。
「うん…朋也になら…恥ずかしい顔見せても…いい…よ。」
「くっ杏、ごめんっ!」
いきなりブルマと体育着、さらに白色のニーソックスを、無理矢理剥がされてしまう。
「きゃあっ馬kっ!!!???」
一瞬思考回路が停止する。
じゅるっれろれろっじゅぷじゅぷ
「ん゛あ゛あ゛ぁぁあああぁぁあああああぁぁぁぁ!!!!!」
激しい快楽に襲われると同時に、体が痙攣していつの間にか大きな声を上げていた。
「…イったみたいだな。」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
もう何も喋る気力が残っていなくて、首をいやいやと左右に振るしかできなかった。
「…杏、入れるぞ。」
「ふぇ…?」
朋也の方を見ると、全裸になった朋也がいて、男のナニがこれでもかと言わんばかりに努張している。
そして、事の大きさにようやく気づく。
「だ、駄目だからね!?入れちゃ駄目よ!?」
心の準備が全く出来ていない私にとって、いきなり中に入れるなど絶対に受け入れられない。
「大丈夫、こんだけ濡れてれば大丈夫だから…な?」
そこには私の知っているいつも暇そうにしている朋也の姿はなく、私が時々見る、すごく優しくて強い朋也が、いた。
その真剣な顔と、優しさに溢れた眼を見て思わず、
「う、うん…信じる…から。」
「うん。」
そして私は朋也の力を借りて起きあがり、朋也の上にまたがり。ナニと私のあそこをぴったり密着させるとくちゅりと音がする。
「ゆっくりでいいから…入れるんだ。」
「う、うん…はぁぁあっああぁああ…。」
そしてゆっくり腰を沈めていると、
「ごめん、杏。痛いだろうけど…許してくれ。」
「え?」
そう言うと朋也は起きあがって私が朋也の上で座るような体勢になった瞬間だった。
ぶちっ
処女が、奪われた瞬間だった。
「ああああああああぁぁあああぁぁあああああああああぁああっ!!!!!」
今までにない長い痛みと絶叫。
私は朋也にしがみつく。
朋也は、優しく抱いてくれた。
「くぅぅうぅぅううぅううぅぅぅ…。」
それから十分ほどずっと抱き合っていた。
「…もう大丈夫だろ?」
「う、うん…う、動いて、い、いい、よ。」
私が承諾すると朋也は私をマットの上に押し倒して腰をゆっくりと動かし始める。
「んっああぁあっ!」
「わ、悪い!痛かったか!?」
心配そうな朋也に私は出来るだけの笑顔で、
「うん、大丈夫。ちょっと、気持ちよすぎただけ。」
「…そっか。」
お互いにくすりと笑うと、今度は本格的に腰を振り始める朋也。
「あっあっあっあっあっひゃっくぁっ朋っやっぁあぁあ!」
どんどん腰を振る速度があがっていくにつれ、痛みは消えていき、快楽のみが私の心と感情と体を支配する。
「んぁっ朋也ぁああああぁ!イク!イク!イク!」
朋也のナニが私のあそこをぐちゃぐちゃとかき回す。
「俺も、出そうだ…!」
「いっぱいかけてぇ!朋也のせーえき!いっぱい!いっぱいぃぃ!」
いつの間にか発していた言葉に、朋也は、
「ああ!俺も、お前にいっぱいぶっかけたい!」
そういうと速度をさらに早め、イク寸前にナニがぬぽっと引き抜かれると同時に、
「ああああぁぁぁああぁぁあくぁぁあああああああ!!!!!!」
イった。
「くぉっ出るっ!」
そして朋也のナニからは大量の精液が、
ドプッビュクッビュルルルッ!!!
「ふぁぁ…朋也の…せーえき…。」
ロクに回らない舌を何とか動かしながらそう言うと、私の意識は闇に沈んでいった…。



 * * *



「んっ…。」
布団が擦れる音がする。
「お、杏、起きたか?」
「ん…。」
片目だけをなんとか開けると、ぼんやりとしているが、隣で座っているのが誰かすぐにわかった。
「朋也?」
「ああ、あの後すぐ寝ちゃったからな。お前の家まで送った。」
…そうだ。私は確か朋也と肌を重ねて…。
思い出すと顔から火が出るほど恥ずかしかったが、それでも勇気を振り絞って聞く。
「ねぇ、朋也?」
「あん?」
いつもの素っ気ない返事の朋也。
「私の事…好き?」
そう聞くと微笑みながら、
「ああ、大好きだぞ。」
「うん、私も大好き。」
あの一件が無ければ、恐らく私は椋を使って朋也への想いを封印していたと思う。
でも、今日ちょっと強引だったけど朋也と肌を重ねることによって自分の気持ちに素直になれた。
「…ところでここどこ?」
「ん?さっきも言ったじゃないか。“お前の家”だよ。」
「そっか〜私の家ねぇ〜そっかそっk…。」
今、何て?
「え?私の家?」
「そう。」
「お父さんとお母さんは?」
「居るよ。」
「挨拶は?」
「したよ。」
「私達が付き合ってることは?」
「知ってる。」
「…そっか。」
それなら、いいかな。
「どうしたんだ?kyっんっ!?」
「んぅ…。」
また、キスをした。
こうして私たちは結ばれた。
その後椋は特に落ち込む様子もなく、バイト先の彼氏と良くやっているそうよ。
私達はどうなのかって?
それは…ねぇ?
「はい、朋也、あ〜ん♪」
「…ここ教室だぞ。」
「いいじゃない、見せつけるのよ♪」
「…あ、あ〜ん…むぐっもぐもぐ…うん、うまい。」
「本当?やった〜♪」
「お二人さん…。」
「「春原、いたの(か)?」」
「あんたたちが呼んだんですけどねぇっ!」
「はい、朋也あ〜ん♪」
「…あ〜ん。」
「ほらあれ、噂のバカップルでしょ?」
「うわ〜…あ〜ん♪だって〜!」
「くっそ〜…岡崎と藤林姉の間に何があったんだぁ〜!?」
そう、全校生徒公認のバカップルになっていた。
実は私はバカップルと言われるのが少しだけ嬉しかったりする。
だって、そういう風に言われるくらい周りから仲が良いって認められてるってことだから。
「えへへぇ…。」
「ん、どうした?杏。」
「だ〜い好き♪」
「うわ、おい!」
この幸せを絶対に離さない。
朋也に嫌われないように頑張ろう。
もっと朋也に好きになってもらえるように頑張ろう…♪

    * F I N *

あとがき。




★ もし体育館倉庫であれがこうなって(ryの続きを読む
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